育成就労制度とは?
制度の目的・仕組み・施行時期から、
技能実習・特定技能との違いまで、わかりやすく解説。.
【最終更新日:2026年6月24日】
育成就労制度(いくせいしゅうろうせいど)とは、深刻な人手不足分野で外国人材を「育成」しながら「確保」することを目的に、従来の技能実習制度に代わって2027年4月1日から始まる新しい外国人材の受け入れ制度です。 原則3年間の就労を通じて、外国人が「特定技能1号」の水準の技能を身につけることを目指します。
「育成就労って結局なに?」「技能実習や特定技能と何が違うの?」「いつから始まるの?」——こうした疑問を持つ方に向けて、本記事では制度のことをよく知らない方でも理解できるよう、目的・スケジュール・従来制度との違い・企業に求められる準備までを順を追って整理します。
※本記事は2026年6月時点で公布・公表されている法令、分野別運用方針および育成就労制度運用要領に基づいています。今後、分野別の告示や運用要領、申請様式等が改訂される可能性があります。
育成就労制度とは
制度の目的と概要
育成就労制度は、人手不足が深刻な分野において、外国人材を計画的に育成し、確保することを目的とした受け入れ制度です。2024年6月に公布された改正入管法および「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(以下、育成就労法)に基づいて創設されました。
ポイントは「育成」と「確保」の2本柱です。具体的には、育成就労産業分野(後述)において原則3年間の就労を通じ、外国人が特定技能1号の水準に達する技能を身につけられるよう育成し、あわせて当該分野の人材を確保することを狙いとしています。
従来の技能実習制度が「国際貢献(技能移転)」を目的に掲げていたのに対し、育成就労制度は就労・人材確保を正面から目的に据えている点が大きな特徴です。
在留資格と対象分野
育成就労制度で外国人が取得する在留資格は、その名のとおり「育成就労」です。
対象となるのは育成就労産業分野と呼ばれる17分野です。特定技能の特定産業分野19分野のうち、自動車運送業分野と航空分野には育成就労産業分野が設定されていません。
育成就労制度はいつから
施行日は2027年4月1日
育成就労制度の施行日は、2027年4月1日です。2025年9月26日に閣議決定され、9月30日には制度の具体的な内容を定める関係省令等が官報で公布されました。
技能実習制度との併存期間に注意
施行日以降すぐに技能実習生が全員いなくなるわけではありません。施行日時点ですでに技能実習を行っている人のほか、施行日前に必要な計画認定等を受け、経過措置の要件を満たす人についても技能実習を継続・開始できます。また、一定の1号技能実習生は2号へ、2号技能実習を1年以上行っている人は一定の要件の下で3号へ移行できます。そのため、しばらくは技能実習制度と育成就労制度が併存します。
なお、2027年4月1日以降は新たな技能実習計画の認定申請を行うことはできません。技能実習制度での受け入れを予定している企業は申請時期や入国スケジュールに注意が必要です。経過措置の細目は変更される可能性があるため、最新の取り扱いは出入国在留管理庁での確認が必要です。
なぜ創設されたのか
育成就労制度が生まれた背景には、技能実習制度が抱えていた2つの大きな課題があります。
第一に、「目的」と「実態」の乖離です。技能実習制度は技能移転による国際貢献を建前としていましたが、実際には労働力の確保手段として使われるケースが多く、制度の趣旨と現場の実態がかみ合っていないと指摘されてきました。
第二に、外国人の権利保護の不十分さです。技能実習では原則として本人の意思による受入先の変更(転籍)が認められておらず、人権上の観点から国内外で批判を受けていました。
こうした課題を解消し、日本が外国人材から「選ばれる国」となるために、人材育成と人材確保を正面から目的に据え、さらに育成就労 → 特定技能へと段階的にキャリアアップできる連続性を持たせた制度として設計されたのが育成就労制度です。
技能実習・特定技能との違い
育成就労・技能実習・特定技能の主な違いを整理すると、次のとおりです。
特に押さえておきたい違いは次の3点です。
- (1) 本人の意向による「転籍」が可能に
- 技能実習では原則認められなかった転籍が、育成就労では一定の要件を満たせば本人の希望で認められます。外国人の権利保護を重視した大きな変更点です。
- (2) 就労開始前の日本語要件が新設
- 技能実習にはなかった日本語能力の要件が、育成就労では就労開始時点で求められます
- (3) 特定技能へのキャリアパスが制度化
- 育成就労で3年間技能を磨いた人材が、要件を満たせば特定技能1号へ移行する流れが制度として明確になりました。一方で、技能実習で求められていた前職要件・復職要件は撤廃されます。
育成就労外国人に求められる要件
就労開始前:日本語能力A1相当
在留資格「育成就労」では、就労開始時点での技能要件はありませんが、日本語能力の要件が設けられます。具体的には、就労開始までにA1相当以上の日本語試験に合格するか、認定日本語教育機関の「就労」課程等において、所定のA1相当講習を100時間以上受講する必要があります。
特定技能1号へ移行する際:技能試験+日本語能力A2相当
育成就労から特定技能1号へステップアップするには、原則として次の2つが必要です。
- 技能に関する試験(技能検定3級または分野別運用方針で定める育成就労評価試験)の合格。分野によっては特定技能1号評価試験が指定。
- 日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4など)の試験の合格。
- ※分野によっては、これより高い日本語水準が求められる場合があります。必ず分野別運用方針の確認が必要です。
受入企業に求められること
育成就労制度で外国人を受け入れる企業は「育成就労実施者」と呼ばれます(技能実習制度の「実習実施者」、特定技能制度の「特定技能所属機関」に相当)。
主な要件は次のとおりです。
- 育成・支援体制の整備
- 技能実習制度で求められていた水準が基本的に維持されます。
- 分野別協議会への加入
- 特定技能制度との連続性を持たせるため、新たに要件として設けられました。
- 育成就労計画の認定
- 外国人ごとに「育成就労計画」(育成期間・目標とする業務・技能・日本語能力などを記載)を作成し、入国前に3年分について外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。
さらに、これまで技能実習制度では任意受講だった指導員向けの講習が、育成就労制度では法定講習として受講義務化されます。受入企業側で選任する育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員などについて講習受講が求められます。講習の詳細や経過措置は順次整備中のため、最新情報の確認が必要です。
監理支援機関とは
監理支援機関は「許可制」へ
育成就労外国人の受け入れ・就労が適正に行われているかを監理する組織は「監理支援機関」と呼ばれます(技能実習制度の「監理団体」に相当)。育成就労制度では監理支援機関は許可制となり、許可基準も技能実習制度より厳格化されます。
技能実習制度で許可を受けた監理団体であっても、新制度のもとで改めて監理支援機関としての許可を受けなければ業務を行えない点に注意が必要です。具体的には、受入企業と密接な関係を持つ役職員の監理業務への関与制限、外部監査人の配置義務化などが新たに加わります。
【愛岐連携支援推進協同組合の対応状況】
当組合(愛岐連携支援推進協同組合)は、現行の技能実習制度において優良一般監理団体としての許可を受け、技能実習生の受け入れ・監理を行ってまいりました。
育成就労制度では、上記のとおり監理団体が新たに「監理支援機関」として改めて許可を受ける必要があります。当組合も新制度への移行に向けて、監理支援機関の許可を申請中です。
※本ブロックの内容は記載時点の状況です。許可の取得状況など最新の情報は当組合までお問い合わせください。
育成就労制度の「転籍」のしくみ
育成就労制度では、一定の要件を満たした場合、外国人本人の意向により受入企業を変更する「転籍」が認められます。これは、本人の意向による転籍が原則として認められていなかった技能実習制度からの大きな変更点であり、外国人の権利保護を重視した制度設計です。
転籍が円滑かつ適正に行われるよう、監理支援機関や外国人育成就労機構などが、本人の意向確認や転籍先の確保、関係機関との連絡調整などを行います。
転籍を希望する育成就労外国人は、現在の受入企業(育成就労実施者)または監理支援機関に対して、受入企業を変更したい旨を申し出ます。
監理型育成就労において受入企業が申出を受けた場合は、遅滞なく監理支援機関へ通知します。監理支援機関は、外国人本人から直接申出を受けた場合、または受入企業から申出を受けた旨の通知を受けた場合に、外国人育成就労機構へ「育成就労実施者の変更希望の申出受理届出」を行います。なお、単独型育成就労の場合は、申出を受けた育成就労実施者が外国人育成就労機構へ届け出ます。
その後、監理支援機関や外国人育成就労機構などが、転籍先の確保や関係機関との連絡調整を支援します。実際に転籍して育成就労を継続するためには、転籍先となる企業が新たな育成就労計画を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。
本人の意向による転籍には、同一の業務区分であること、一定の就労期間を経過していること、技能や日本語能力の要件を満たしていることなど、所定の要件があります。必要な就労期間などは分野によって異なる場合があるため、分野別運用方針や最新の運用要領を確認する必要があります。
転籍が可能になることによる企業への影響
転籍が認められることは、受入企業にとって2つの側面を持ちます。
ひとつは、人材の流出リスクです。これまでの技能実習制度では原則として受入先の変更ができなかったため、企業は一定期間、人材の在籍を見込むことができました。育成就労制度では本人の意向による転籍が可能になるため、待遇や職場環境に課題があると、育成した人材が他社へ移る可能性があります。
もうひとつは、その裏返しとして、「選ばれる職場づくり」が定着につながるという側面です。賃金や労働環境、生活面のサポート、キャリア形成の機会などを整えることは、転籍を防ぐための対応であると同時に、人材の定着率を高め、結果として企業の採用・育成コストの抑制につながります。
転籍制度は企業にとって一見不利に見えますが、外国人材から「働き続けたい」と思われる環境を整えることが、長期的な人材確保の観点ではプラスに働くと考えられます。
受け入れ人数の上限
育成就労制度では、育成就労の適正な実施と外国人の保護を図るため、受入企業(育成就労実施者)が受け入れられる育成就労外国人の人数に上限が設けられています。
受け入れ人数枠は、受入企業の常勤職員数、単独型・監理型といった受入形態、育成就労実施者が優良基準を満たしているか、受入企業の住所が指定区域内にあるかなどによって決まります。
監理型育成就労の受け入れ人数枠
監理型育成就労における基本的な人数枠は、次のとおりです。ここでいう人数枠は、1年目から3年目までの育成就労外国人の合計人数に対する上限です。
| 受入企業の常勤職員数 | 基本人数枠一般の実施者 | 優良な育成就労実施者基本枠の2倍 | 地方特別枠基本枠の3倍 |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の15% | 常勤職員数の30% | 常勤職員数の45% |
| 201人以上300人以下 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101人以上200人以下 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51人以上100人以下 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41人以上50人以下 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31人以上40人以下 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9人以上30人以下 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
「優良な育成就労実施者」の人数枠は、受入企業が法令で定められた優良基準を満たす場合に適用され、基本人数枠のおおむね2倍となります。
地方特別枠は、受入企業が指定区域内に所在し、受入企業と監理支援機関の双方が優良基準を満たしている場合に適用され、基本人数枠のおおむね3倍となります。
指定区域とは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県以外の地域に加え、これら8都府県内の一部地域を含む、主務大臣の告示で定められた区域です。法人の場合は、原則として登記簿上の本店所在地によって指定区域内かどうかが判断されます。
なお、施行日時点で受け入れている1号・2号技能実習生は、育成就労外国人として人数枠に算入されます。
また、単独型育成就労や労働者派遣等の形態で行われる育成就労、分野ごとに上乗せ基準が設けられている場合などは、人数枠や適用条件が異なることがあります。自社に適用される人数枠については、最新の育成就労制度運用要領や分野別の公的資料を確認する必要があります。
育成就労制度では、上記のとおり監理団体が新たに「監理支援機関」として改めて許可を受ける必要があります。当組合も新制度への移行に向けて、監理支援機関の許可を申請中です。
※本ブロックの内容は記載時点の状況です。許可の取得状況など最新の情報は当組合までお問い合わせください。
受け入れ企業が今から準備すべきこと
育成就労制度の施行は2027年4月1日ですが、制度への対応は施行を待ってから始めるのではなく、今のうちから計画的に進めておくことが重要です。技能実習制度から育成就労制度への切り替えにあたり、受入企業が確認・準備しておきたい主なポイントを整理します。
- 1. 自社の受け入れ分野が対象かどうかの確認
- 育成就労産業分野は、原則として特定技能の特定産業分野と一致させる方針ですが、国内での育成になじまない分野は対象外とされます。まずは自社の事業・職種が育成就労の対象になるかを、分野別の運用方針で確認することが出発点となります。
- 2. 現在受け入れ中の技能実習生の取り扱いの整理
- 施行前に入国した技能実習生は、少なくとも技能実習2号修了まで実習を継続できます。在籍している実習生の在留期限や、今後の特定技能への移行予定などを整理し、技能実習・育成就労・特定技能のどの枠組みで継続・移行するのかを見通しておく必要があります。
- 3. 監理支援機関との連携体制の確認
- 団体監理型で受け入れる場合、これまでの監理団体が新制度で監理支援機関の許可を取得しているか(または申請中か)の確認が必要です。新制度では許可基準が厳格化されるため、連携先の対応状況を早めに把握しておくことが望まれます。
- 4. 育成就労計画の作成・認定に向けた準備
- 育成就労制度では、外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。育成期間・目標とする業務・技能・日本語能力などを盛り込んだ計画を作成できる社内体制を整えておくことが求められます。
- 5. 日本語教育の機会提供と社内体制の整備
- 育成就労では、就労開始前の日本語要件や、特定技能1号移行時のA2相当目標講習など、日本語能力の習得を支援する仕組みが組み込まれています。受入企業には、外国人が講習を受講する機会を提供する義務が生じる場面もあるため、教育機会の確保や指導員・相談員の体制整備を検討しておく必要があります。
- 6. 「選ばれる職場」に向けた待遇・環境の見直し
- 前章で触れたとおり、育成就労では本人の意向による転籍が可能になります。賃金・労働環境・生活サポート・キャリア形成の機会などを見直し、外国人材に「働き続けたい」と思われる職場を整えることが、人材の定着と長期的な確保につながります。
いずれの準備も、制度の細目が今後の運用要領などで具体化されていくため、最新情報を確認しながら段階的に進めることが現実的です。
よくある質問
育成就労制度に関する、よくある質問をまとめました。
2027年4月1日に施行されます。ただし、施行日時点ですでに技能実習を行っている人や、施行日前に必要な計画認定等を受け、経過措置の要件を満たす人は技能実習を継続・開始できるため、当面は両制度が併存します。
技能実習制度は育成就労制度へと発展的に解消(移行)されます。2027年4月1日以降は新たな技能実習計画の認定申請ができなくなる見込みです。
育成就労は「特定技能1号水準の人材を育てる(原則3年)」段階、特定技能は「即戦力として働く」段階という位置づけです。育成就労で技能・日本語の要件を満たすと特定技能1号へ移行できます。
技能実習では原則できませんでしたが、育成就労では一定の要件を満たせば本人の意向による転籍が可能になります。
監理支援機関の新たな許可取得状況の確認、育成就労計画の作成体制の整備、法定講習の受講準備などが必要になります。詳細は順次整備中のため、一次情報の継続的な確認をおすすめします。
まとめ
育成就労制度は、技能実習制度が抱えていた「目的と実態の乖離」や「外国人の権利保護不足」といった課題を解消し、人材育成と人材確保を正面から目的に据えた新しい制度です。2027年4月1日の施行に向けて、受入企業・監理支援機関ともに体制整備が求められます。
要点を整理すると次のとおりです。
- 育成就労制度は2027年4月1日施行。技能実習制度から移行する新制度。
- 目的は人材育成+人材確保。在留資格は「育成就労」、就労期間は原則3年。
- 就労開始前の日本語要件が新設され、本人意向による転籍が可能に。
- 育成就労 → 特定技能1号へのキャリアパスが制度化。
- 監理団体監理支援機関(許可制)へ。許可基準も厳格化。
制度の細目は今後も政省令や運用要領で具体化されていきます。最新かつ正確な情報は、必ず以下の一次情報で確認することをおすすめします。
【参考・一次情報リンク】
育成就労制度への対応は、確認・準備すべき項目が多岐にわたります。
「自社は対象分野にあたるのか」「技能実習からどう切り替えればよいのか」「何から、どんなスケジュールで進めればよいのか」——こうした疑問について、愛岐連携支援推進協同組合が一緒に整理し、新制度への移行を伴走します。
育成就労制度のご相談はこちら
愛岐連携支援推進協同組合では、技能実習生・特定技能人材の受け入れ支援で培った実績をもとに、2027年4月施行の育成就労制度への移行をサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。
